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Google Cloud Platform(GCP)の特徴・料金・評判【2026年最新】

最終更新日: 2026/03/06

はじめに - GCPの概要

Google Cloud Platform(GCP)は、Googleが提供するパブリッククラウドプラットフォームです。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureと並ぶ世界3大クラウドサービスの1つであり、Google検索・YouTube・Gmailなどを支える世界最大級のインフラストラクチャを基盤としています。

2008年にApp Engineの提供開始からスタートし、現在は200以上のサービスを40以上のリージョンで展開しています。特にデータ分析(BigQuery)、コンテナオーケストレーション(GKE)、AI/機械学習(Vertex AI)の領域で高い評価を受けています。

Publicクラウドの比較一覧についてはPublicクラウド比較一覧表をご参照下さい。

GCPの大きな特徴として、以下の3点が挙げられます:

  • Googleと同じインフラ: Google検索・YouTube・Gmailを支える世界最大級のネットワーク・データセンターを利用可能
  • データ分析・AI/MLの強さ: BigQuery(サーバーレスDWH)、Vertex AI、TPU(Tensor Processing Unit)など、データ活用に特化したサービス群
  • Kubernetesの本家: Kubernetesを開発したGoogleによるマネージドKubernetesサービス(GKE)は、業界のデファクトスタンダード

公式情報

  1. 公式サイト
  2. 公式サイト(日本語)
  3. 公式ブログ
  4. 公式ブログ(日本語)
  5. 公式ドキュメント(日本語)
  6. 料金計算ツール(Pricing Calculator)
  7. 公式Twitter(@googlecloud)
  8. 公式YouTube

GCPの全般的な特徴・評判

良い点・強み

  • Googleと同じインフラを利用可能: Google社内でGoogle検索、YouTube、Gmail等を稼働させているのと同じグローバルネットワーク・データセンターをユーザーが使える。Googleのプレミアムティアネットワークは、パブリックインターネットを経由せずGoogleの専用バックボーンで通信するため、低レイテンシかつ高スループットを実現
  • BigQueryの圧倒的な強さ: フルマネージドのサーバーレスデータウェアハウス(DWH)であるBigQueryは、ペタバイト規模のデータを数秒〜数十秒で分析可能。サーバー管理不要・従量課金で、データ分析のコストパフォーマンスに優れる。競合のAWS Redshift、Azure Synapse Analyticsと比較しても、セットアップの容易さとスケーラビリティで高い評価を得ている
  • Kubernetesの本家(GKE): Kubernetesを開発・公開したのはGoogle(元はBorgという社内システム)。Google Kubernetes Engine(GKE)はKubernetesの最新機能をいち早く提供し、オートスケーリング、自動アップグレード、セキュリティパッチの適用など運用負荷を大幅に軽減する。AWSのEKSやAzureのAKSと比較して、Kubernetesネイティブな機能の充実度で一歩先を行く
  • グローバルネットワーク性能: Googleは世界中に敷設した海底ケーブルや専用光ファイバーを保有しており、リージョン間通信が高速。グローバルロードバランシングにより、単一のIPアドレスで世界中のユーザーに最適なリージョンからコンテンツを配信可能
  • AI/ML分野のリーダーシップ: Vertex AIプラットフォームにより、MLモデルの構築・トレーニング・デプロイを統合的に管理可能。TPU(Tensor Processing Unit)はGoogle独自開発のAI専用プロセッサで、大規模なモデルトレーニングにおいてGPUより高いコストパフォーマンスを発揮する場合がある。Gemini等のGoogleの最新AI技術にもいち早くアクセスできる
  • 継続利用割引の自動適用: Compute Engineのインスタンスを月の一定割合以上稼働させると、何もしなくても自動的に割引が適用される(最大30%割引)。AWSのリザーブドインスタンスのように事前購入が不要な点が便利

悪い点・課題

  • AWS・Azureに比べエンタープライズ実績が少ない: クラウド市場シェアではAWS(約31%)、Azure(約25%)に次ぐ第3位(約11%、2025年時点)。大企業のミッションクリティカルシステムでの採用実績はAWS/Azureに劣り、SIerやパートナーのGCP対応エンジニアも相対的に少ない
  • 日本語ドキュメント・情報の不足: 公式ドキュメントの日本語訳は進んでいるが、英語版に比べて更新が遅れる場合がある。また、日本語の技術ブログやQAサイト(Stack Overflow等)での情報量はAWSと比較すると少ない
  • サービスの突然終了リスク: Googleは歴史的に採算の合わないサービスを終了する傾向がある(Google+、Stadia等)。クラウドサービスは主力事業として注力しているためリスクは低いが、個別のAPIやサービスが非推奨(deprecated)になるペースがAWSより速い傾向がある
  • エンタープライズサポートの成熟度: AWS/Azureに比べると、日本国内でのサポート体制やプロフェッショナルサービスの規模がやや小さい。ただし近年は改善が進んでいる
  • 一部サービスの料金がわかりにくい: BigQueryのスロット課金やネットワーク料金の計算は複雑で、予想外のコストが発生する場合がある

GCPの主要サービス

コンピュート

  • Compute Engine: 仮想マシン(VM)サービス。AWSのEC2に相当。カスタムマシンタイプにより、vCPUとメモリを自由に組み合わせ可能。プリエンプティブル(Spot)VMは最大91%割引
  • Cloud Run: コンテナをサーバーレスで実行するフルマネージドサービス。リクエストがない間はスケールゼロまで縮小し、コストを最小化。Dockerコンテナさえあればデプロイ可能で、Knativeベース
  • Google Kubernetes Engine(GKE): マネージドKubernetesサービス。Autopilotモードではノード管理もGoogleに任せられる。マルチクラスタ管理、Istioサービスメッシュ統合にも対応
  • App Engine: PaaS(Platform as a Service)。アプリケーションコードをデプロイするだけでインフラ管理不要。Standard環境(スケールゼロ対応)とFlexible環境(カスタムランタイム対応)の2種類

ストレージ・データベース

  • Cloud Storage: オブジェクトストレージ。AWSのS3に相当。Standard、Nearline(30日)、Coldline(90日)、Archive(365日)の4つのストレージクラスを提供
  • Cloud SQL: マネージドリレーショナルデータベース。MySQL、PostgreSQL、SQL Serverに対応。自動バックアップ、レプリケーション、フェイルオーバーを標準提供
  • Firestore: サーバーレスのNoSQLドキュメントデータベース。リアルタイム同期に対応し、モバイル/Webアプリのバックエンドとして広く利用。Firebase経由でも利用可能
  • BigQuery: サーバーレスデータウェアハウス(DWH)。ペタバイト規模のデータ分析をSQLで実行可能。ストレージとコンピュートが分離されており、必要に応じて独立にスケール。BigQuery MLによりSQL内で機械学習モデルの構築も可能
  • Cloud Spanner: グローバル分散型のリレーショナルデータベース。強整合性とほぼ無制限のスケーラビリティを両立。金融機関やグローバルサービスで採用
  • Bigtable: 大規模な分析・運用ワークロード向けのフルマネージドNoSQLデータベース。Googleの検索やマップ等でも使用されている技術をベースとする

サーバーレス・メッセージング

  • Cloud Functions: イベント駆動型のサーバーレス関数。AWSのLambdaに相当。HTTP リクエスト、Cloud Storageの変更、Pub/Subメッセージ等をトリガーに実行
  • Pub/Sub: フルマネージドのメッセージングサービス。リアルタイムのイベントストリーミングに対応し、数百万メッセージ/秒のスループットを処理可能

AI・機械学習

  • Vertex AI: 統合型AI/MLプラットフォーム。データの前処理、モデルのトレーニング、デプロイ、モニタリングを一貫して管理。AutoMLにより、ML専門知識がなくてもカスタムモデルの構築が可能
  • Cloud Vision AI: 画像認識API。画像内のオブジェクト検出、テキスト抽出(OCR)、顔検出、ラベル付けなどを提供
  • Cloud Natural Language: テキストの感情分析、エンティティ認識、構文解析を行うAPI
  • Cloud Speech-to-Text / Text-to-Speech: 音声認識・音声合成サービス。125以上の言語に対応
  • TPU(Tensor Processing Unit): Google独自開発のAI/ML専用プロセッサ。大規模な深層学習モデルのトレーニングにおいて高いコストパフォーマンスを発揮

ネットワーキング

  • Cloud CDN: Googleのエッジネットワークを利用したコンテンツ配信ネットワーク。Cloud Load Balancingと統合されており、簡単に有効化可能
  • Cloud Load Balancing: グローバルロードバランシング。単一のエニーキャストIPで世界中にトラフィックを分散。HTTP(S)、TCP/UDP、内部ロードバランサーを提供
  • VPC(Virtual Private Cloud): 仮想プライベートネットワーク。グローバルVPCにより、リージョンをまたいだサブネットを1つのVPC内に構成可能(AWSのVPCはリージョン単位)
  • Cloud Interconnect: 専用線接続。Dedicated Interconnect(10/100Gbps)とPartner Interconnectを提供
  • Cloud DNS: マネージドDNSサービス。100%の可用性SLA

GCPの料金体系

GCPの料金体系は、従量課金を基本に、自動割引と確約利用割引の2つの割引メカニズムが用意されています。

従量課金と継続利用割引

GCPのCompute Engineは秒単位(最低1分)で課金されます。特徴的なのは継続利用割引(Sustained Use Discount: SUD)で、月の一定割合以上インスタンスを稼働させると自動的に割引が適用されます。

  • 月の25%以上稼働: 自動的に割引開始
  • 月の100%稼働: 最大約30%の割引(マシンタイプにより異なる)
  • 事前申し込み不要 - 利用するだけで自動適用
  • E2マシンタイプ等一部は継続利用割引の対象外

確約利用割引(CUD)

1年または3年の利用を確約(コミット)することで、大幅な割引が受けられます。

  • 1年確約: 最大約37%割引
  • 3年確約: 最大約55%割引
  • vCPUとメモリの量をコミット(特定のインスタンスタイプに縛られない)
  • リソースベースのCUDは同一リージョン内で柔軟に適用可能

主要サービスの参考料金

以下は2026年3月時点の参考料金です(東京リージョン: asia-northeast1)。最新の正確な料金は公式料金ページをご確認ください。

サービス スペック 料金(従量課金)
e2-micro 0.25 vCPU(バースト2 vCPU)、1GB RAM 約$0.0084/hr(永久無料枠対象)
e2-standard-2 2 vCPU、8GB RAM 約$0.093/hr(約$67/月)
e2-standard-4 4 vCPU、16GB RAM 約$0.186/hr(約$134/月)
n2-standard-2 2 vCPU、8GB RAM 約$0.107/hr(約$77/月)
Cloud Storage (Standard) 1GB/月 約$0.023
Cloud SQL (MySQL) db-n1-standard-1(1 vCPU、3.75GB) 約$0.0965/hr
BigQuery(分析) 1TB処理あたり $6.25(毎月1TBまで無料)
Cloud Run vCPU秒 / GiB秒 $0.00002400/vCPU秒、$0.00000250/GiB秒
アウトバウンドデータ転送 1GBあたり(プレミアムティア) 約$0.14(APAC宛、200GBまで無料/月)

注意: GCPの料金はリージョンによって異なります。東京リージョン(asia-northeast1)は米国リージョンと比較して約10〜20%高い場合があります。また、カスタムマシンタイプを使用すると、必要なvCPUとメモリの量だけに対して課金されるため、定義済みマシンタイプよりコスト効率が良い場合があります。

GCPの無料枠

GCPには2種類の無料プログラムが用意されています。

Always Free(永久無料枠)

期間制限なしで利用可能な永久無料枠です。小規模なプロジェクトや学習用途に十分なリソースが含まれています。

サービス Always Free枠 補足
Compute Engine e2-micro インスタンス 1台/月 us-west1, us-central1, us-east1リージョンのみ。30GB HDD、1GBのアウトバウンドデータ転送(北米宛、中国・豪州除く)
Cloud Storage 5GB(Standard) us-west1, us-central1, us-east1リージョンのみ。Class A操作5,000回/月、Class B操作50,000回/月
BigQuery 1TB/月の分析処理、10GBのストレージ リージョン制限なし
Cloud Functions 200万回/月の呼び出し 400,000 GB秒のコンピュート時間、200,000 GHz秒のコンピュート時間含む
Cloud Run 200万リクエスト/月 180,000 vCPU秒、360,000 GiB秒
Firestore 1GBストレージ 読み取り50,000回/日、書き込み20,000回/日、削除20,000回/日
Pub/Sub 10GB/月
Cloud Vision AI 1,000ユニット/月
Cloud Natural Language 5,000ユニット/月
Cloud Shell 無料 5GBのホームディレクトリ付き

無料トライアル($300クレジット)

新規アカウント作成時に$300分の無料クレジット(90日間有効)が付与されます。

  • 90日間、$300分のクレジットで全てのGCPサービスを試用可能
  • クレジットカードの登録が必要(自動課金はされない)
  • トライアル期間中はGPUやTPUの利用に制限あり
  • トライアル期間終了後、有料アカウントへのアップグレードは手動(自動課金されない)

AWSやAzureとの比較ポイント

主要なパブリッククラウドサービスとGCPの比較を以下にまとめます。

項目 GCP AWS Azure
提供開始 2008年(App Engine) 2006年 2010年
市場シェア(2025年) 約11% 約31% 約25%
リージョン数 約40 約33 約60+
永久無料枠VM e2-micro 1台(米国リージョン限定) t2.micro(12ヶ月限定) B1S(12ヶ月限定)
DWH BigQuery(サーバーレス) Redshift(プロビジョンド/サーバーレス) Synapse Analytics
Kubernetes GKE(本家) EKS AKS
AI/ML Vertex AI、TPU SageMaker、Inferentia Azure ML、OpenAI連携
サーバーレス Cloud Run、Cloud Functions Lambda、Fargate Azure Functions、Container Apps
ネットワーク グローバルVPC、プレミアムティア リージョナルVPC グローバルVNet
自動割引 継続利用割引(自動、最大30%) なし(RI/Savings Plans要購入) なし(予約要購入)
強み BigQuery、GKE、AI/ML、ネットワーク サービス数、エコシステム、実績 Microsoft製品連携、ハイブリッド
弱み エンタープライズ実績、シェア 料金の複雑さ UI/UXの複雑さ

さくらのクラウドやOCIを含む国内外クラウドとの比較はPublicクラウド比較一覧表をご参照ください。

GCPが向いている利用シーン

データ分析・ML/AI案件

BigQueryによるペタバイト規模のデータ分析、Vertex AIによるMLモデルの構築・運用、TPUによる大規模モデルトレーニングなど、GCPはデータ活用・AI分野で最も充実したサービスを提供しています。データドリブンな意思決定を推進する企業、ML/AIを活用したプロダクトを開発するスタートアップにとって、GCPは最適な選択肢です。

コンテナ中心のアーキテクチャ

Kubernetesの本家であるGKE(特にAutopilotモード)、サーバーレスコンテナのCloud Runにより、コンテナベースのマイクロサービスアーキテクチャを構築するのに最適です。Anthos(マルチクラウド・ハイブリッドKubernetesプラットフォーム)を使えば、GCP・AWS・オンプレミスにまたがるKubernetesクラスタを統合的に管理することも可能です。

Googleサービス連携(Firebase、Google Workspace)

Firebase(モバイル/WebアプリのBaaS)との統合は当然ながらシームレスで、Firestore、Cloud Functions、Cloud Run、Cloud StorageなどのGCPサービスをFirebaseプロジェクトから直接利用可能です。また、Google Workspace(旧G Suite)との連携により、社内ツールの拡張やデータ連携も容易です。

グローバル展開するWebサービス

Googleのプレミアムティアネットワーク、グローバルロードバランシング、Cloud CDNにより、世界中のユーザーに低レイテンシでコンテンツを配信可能です。単一のエニーキャストIPで全リージョンへのトラフィック分散ができる点は、グローバル展開時の運用を大幅に簡素化します。

コスト最適化を重視するケース

継続利用割引(自動適用)、カスタムマシンタイプ(必要なリソースだけに課金)、プリエンプティブル/Spot VM(最大91%割引)、Cloud Runのスケールゼロ(リクエストがなければ課金ゼロ)など、GCPにはコスト最適化のための仕組みが豊富に用意されています。

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