Amazon Lightsail:特徴/料金/評判/性能と設定方法
はじめに
このページでは、AWSのVPS Lightsailの特徴・機能・料金の紹介と解説を行っています。
所謂PublicクラウドとしてのAWS(Amazon Web Service)の解説を読まれたい方は、「AWSの解説ページ」の方をご参照下さい。
Amazon Lightsail公式サイト
- Amazon Lightsail公式サイト
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- 英語Twitter(Lightsailを含んだ呟きに絞っている)
- APIマニュアル
- 利用者向け管理画面
AWS Lightsailの特徴全般
AWS Lightsailの簡単なサマリーとしては、裏は実質はAWSのec2インスタンスなので、通常のVPSとは異なる動きをする。
ガンガン使っていると、CPU性能が突然ガクンと落ちたりするのが使い辛い点になっている。
AWSより簡単に使えるようにと提供されているVPSではあるが、その使い勝手的に本来はAWSを使った事があり、それに対してのメリット・デメリットを理解して使い分けれる人に向いている。
①揮発性(サーバーを時間単位課金で作ってすぐ捨てる事が出来る)
②冗長性(一台サーバーが落ちてもサービスの継続が可能=ロードバランサー、ローカル接続等が必要になる)
③拡張性(データを維持したままのスペックアップが可能)
という、クラウド3条件を満たしており、VPSという枠を超えたクラウド性を持つ先進的クラウド型VPSの1つ。
無料枠の情報
初めてアカウント作る時
– Linux/Unixを使用する場合は$3.50のLightsailプラン
– Windowsを使用する場合は$8プラン
を1ヶ月無料利用可能
Amazon Lightsailの料金とプラン一覧
以下の米国ドルの値段は税抜きですが、消費税は別途かかります。
Linuxプランと料金
メモリ | 0.5 | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CPU | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 4 | 8 |
CPU低下時パフォーマンス | 5% | 10% | 20% | 20% | 30% | 22.5% | 17% |
CPU100%使用 連続稼働保証時間 | 3分 | 6分 | 12分 | 12分 | 18分 | 13.5分 | 10.2分 |
1時間平均で許されるCPU使用率上限 | 5% | 10% | 20% | 20% | 30% | 22.5% | 17% |
SSD | 20 | 40 | 60 | 80 | 160 | 320 | 640 |
無料転送枠(TB) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
月額費用(US/税抜) | 3.5 | 5 | 10 | 20 | 40 | 80 | 160 |
該当ec2タイプ | t2.nano | t2.micro | t2.small | t2.medium | t2.large | t2.xlarge | t2.2xlarge |
該当ec2月額ドル (オンデマンド東京) | 4.9 | 9.8 | 9.8 | 39.1 | 78.3 | 156.7 | 313.3 |
該当ec2月額ドル (リザーブド東京 全額支払い1年 コンバート不可) | 3.5 | 7 | 14 | 28 | 56 | 112 | 224 |
無料転送枠を超えたら、アジアパシフィック (東京)の場合1GBあたり0.14 USD(約17円)かかります。
Windowsプランと料金
WindowsはLinuxと違ってOS等に課金される為、値段がLinux版に比べ高くなっています。
メモリ512MBプランではLinuxでは$3.5でWindowsでは$8なので、2.28倍の値段となっている。
データベース(DBaaS)のプランと料金
シングルサーバー構成の料金
通常は冗長性を期待してDBaaSを利用するので、冗長型の料金の方を気にする必要があります。
冗長型の料金は以下の通り。
サーバーの台数が2台になる分、倍の料金になっています。
Amazon Lightsailの機能一覧
VPC Peeringする事ができるが、デフォルトのVPCとのみ
Amazon Lightsailの注意すべき特徴
裏で使われているのはAWSのec2インスタンス(=Elastic Cloud Compute/サーバの事)なので、その差を理解して使い分けをする事が必要。
AWS EC2とLightsailの同じ点(だが普通のVPSと大きく違う点)
AWSのEC2と同じ点としては、一定量CPUを継続して使っていると、性能が大きくダウンする。
例えば、メモリ0.5GBプランだと、性能は1/20になり、そこまで性能が低下すると正直使い物にならなくなるので、そうした事が起きないように使用しないといけない。
今使っているVPSのCPUの平均利用率が1時間平均で5%を超える事があるサイトを持っている場合には、慎重に移行を検討する必要がある
(5%までOKなのが現在のAmazon Lightsailの最安プラン / その間はCPUは他プランと変わらない性能を発揮するが、その時間をオーバーすると性能が5%=20分の1に落ちて、でもトラフィックはその性能で処理できるよりかは来て処理が溜まり続けて、ついにはサーバーが無反応に、という地獄を見ることになる)。
また、EC2と同じく停止したら、ec2と同じく起動した時にIPアドレスが変わってしまう。
LightsailのAWS ec2に対してメリットとなっている違い
1. 料金としてはインスタンスの料金はEC2のオンデマンドよりかは安く、完全前払いのEC2 1年払いと同じかそれより安い、完全前払いのEC2 3年払いよりは高い、と言った値段関係になっている。
2. ネットワーク転送量の無料枠がTBと大きい。
例えばEC2だったら1TBの転送量消費で0.114/GB*1000*120円=13680円かかるが(2018/10月時点のネットワーク帯域価格@東京DC)、そこまで無料で済む。
AWSを使っているとこのネットワーク転送量とか使用量に応じて発生・変動する料金が大きく、VPSや専用サーバーの予測される支払い金額に対して頭を悩める事になり、会社ではなく個人のPJだったら、やっぱVPSに戻るか(やっちまったぜ)、となったりもしますが、無料転送枠が大きいので、ほぼそうした事にならない。
といっても、逆に無料帯域枠を使い切りそうなレベルで使うのだったら、CPUクレジット制限に引っかかって、CPU性能が低下するボトルネックの方に先にぶつかる可能性が大きいですが。
なお、EC2/EC3はデータINについてはチャージされませんが、LightsailはデータINもデータOUTと合わせて無料転送枠の消費量計算には使われます(超過分の計算にはデータOUTのみ)。
LightsailのAWS ec2に対してデメリットとなっている違い
1. AWSのEC2の場合、CPUを枠以上使った時に性能を落とさない為の対策が用意されているが、Lightsailには現在まだ用意されていない(オートスケール・Unlimitedバースト機能)。
なので、過疎サイト、もしくはCPU性能が落ちても問題ない用途でない限り、かなり使いづらい。
2. EC2は停止したらインスタンスには課金されないが、Lightsailは停止しても課金される。
3. VPC(Virtual Private Cloudというネットワークの区切りの単位)がLightsail特有の空間になっているので、他のAWSのEC2インスタンス・DBと会話させるには、VPC Peer接続(従量課金制)をして通信させない限り、Public Internetを通ってしまい安全でない&ネットワーク通信枠が消費される、と言ったデメリットがある。
4. EC2のように、Reserved Instance、Spot Instanceという存在はなく、それで値段を下げる事はできない。
5. IAMによるロールが割り当てられないので、ロールでs3にそのインスタンスからは無認証でアクセスできるといった、サーバーレベルで認証セキュリティ設定はできない。
6. セキュリティグループという概念はないので、サブネット+セキュリティグループでのセキュリティ管理はできない。
Lightsail特有の機能: ec2インスタンスへの移行サポート
LightsailでとったスナップショットからAWSのec2/ec3インスタンスの立ち上げに使えるようになりました。
Lightsailの機能・性能では不足する場合に、アップグレードする逃げ道が出来たのは、大きな事かとは思います。
AWS ECの存在を認識した上でのLightsailの使い道
上記の同じ点・違う点を鑑みると、総じて言えば
– そんなにCPUを使うトラフィックが来ない&突発的なトラフィックも想定しない事前提のサイト
– Lightsailの無料ネットワーク転送枠の大きさを活用したい場合
– 既にAWSを使っていて、メリット・デメリットを分かった上で状況に応じて使うオプションを増やしたい方
に向いているサービスと言える。
上記に挙げたデメリット・制約を回避したければ、普通にAWSの方のインスタンス、または他社の普通のVPSを使いましょうという事になる。
結局AWSの方を理解していないと中々コスパ・運用最適化は難しいという面もあるので、簡単なようで(実際立ち上げるだけなら簡単)、実はAWSのサービスを理解しデメリットも理解した上で、それに対してのメリットを狙って活用できる方に向いているサービスと言えるでしょう。
自分の場合は、そういうのは面倒なので、AWSを使うのならLightsailは使わず普通にAWSのEC2を使っていますが(^^;
Amazon Lightsailの評判・口コミ
良い点
– AWSとまとめて支払えるのが良い
– AWSに比べると手軽に立ち上げられる、レンタルサーバーみたい
悪い点
– 簡単インストールで入れられるソフトが中々増えない
裏のec2的機能の制限やAWSとの違いについて把握している人は少ない為(実際サイトをパッと見で見ただけでは分からないので)、あのAWSが提供している安くて高性能のVPS、コスパと機能的に満足!、AWSのec2に比べると簡単に使えるし、というと書かれている方が多い。
ただ、このページでの説明を見ると分かる通り、余り人が来ないサイトならそれで全く問題ないが、結局人が沢山くると諸々制約が足枷になり移転する事になる。
しかしそこに至る所までAmazon Lightsailを使いこなしている方は中々見かけず、お試し的な軽い用途に止まっているケースが目立つ。
Amazon Lightsailの簡単インストール対応ソフトウェア
Amazon Lightsailの簡単インストール機能利用時のOSは当然Amazon Linux、ベンダーロックイン待った無しでもある。データベースはマネージドの形でMySQLとPostgreSQLも提供している。

Amazon Lightsailベンチマーク結果
Amazon Lightsailの設定・利用方法
アカウントの取得
https://aws.amazon.com/jp/lightsail/
に行き、まずAWSのアカウントを作る必要があります。
Amazon LightsailはAWSのサーバー(ec2/ec3)を使うに比べて選択肢が絞られて簡略化されているとはいえ、色々気をつけるべき勘所があります。
Amazon Lightsailのプラン・特徴・性能の解説は別の記事をご参照下さい。
インスタンスの作成
国の選択
日本向けにサービスを提供するのなら、迷わず日本を選びましょう。
アベイラビリティゾーンの選択
違ったゾーン=物理的な場所が異なる
という事なので、耐障害性能は上がりますが、違ったDC間の通信は課金対象になる&通信に時間がかかるので、注意。
プラットフォームの選択
アプリとOSのセットで選ぶと、OSはUbuntuが選ばれて作られます。
OSだけで選ぶのなら、もしベンダーロックに抵抗がないのなら、Amazon LinuxがAmazon環境との相性の点では最適化されているので、ベストでしょう。
起動スクリプトとsshキーの設定
起動スクリプトは、インスタンスを立ち上げる時に実行したいShellスクリプトがあったら書きます。
sshキーは、インスタンスにログインするのに使うsshキーを登録します
インスタンスのプランの選択
必要なスペック・コスパを考えて、適切なインスタンスを選んで下さい。
最終決定
あとは作成ボタンを押して起動するだけです。
SSHでのログイン
Webの画面からSSH接続することもできますが、手元のSSHターミナルから接続する時には、ec2のように、ログインするユーザーにはec2-userを使い、sudoでroot権限を取得して、作業を行う事になる。
スペックアップ・ダウンするには
一旦インスタンスを停止して、スナップショットを作って、そこから新たにインスタンスを作る必要があります。
なお、EC2と同じく、インスタンスを停止すると、割り当てられていたPublic IPアドレスが変わってしまうので注意しましょう。
また、EC2と異なり、インスタンスを停止していても課金されます。
サーバーを立ち上げてからの設定
サーバーを立ち上げてからの設定はどのVPSでも大体共通なので以下の記事をご参照下さい。