AlmaLinuxへのCentOSからの移行方法(RHEのfork)
目次
AlmaLinuxの公式情報
CentOSがCentOSではなくなってしまった問題とその解決の動きの説明
CentOSはRed Hat Enterprise Linuxのfork=クローンの立ち位置から、RHEの先行リリース版の立ち位置位置としての、常時アップデートなCentOS Streamに変えます、という発表がありました。
そして、その発表と合わせて、CentOS8のサポート期限が、元々
2029/05末日
までと発表されていたのが
2021/12末日
迄に変更されました。
安定性を求めてRed Hat Enterprise Linuxのfork版であるCentOSを選んでいたユーザー達にとっては、まさに晴天の霹靂です。
将来にリリースされる版ならともかく、既にリリースされてるものが、やっぱサポート期限大幅に短くします、と変えて来た時点で、運営体としての信頼度も相当棄損されました。
そして、もはやこれはCentOSとしては名前に共通性はあっても性質は異なるものだという事で、Red Hat Linuxのfork版としてのDistribution版の開発PJが立ち上がりました。
なお、これは元々のCentOSもそうですが、原理的にはそもそもOSSのフリーソフトウェアであるLinuxを使ってRedhat Linux Enterpriseは作られている為、RHEも結果としてOSSになり、RHEのコードを使ってのオープンソースのdistributionの作成を他者に認めるという作りになっているからです。
今の所
①CloudLinuxが主導で進めているAlmaLinux
https://almalinux.org/
②CentOS開発の初期メンバーが進めてるRockyLinux
https://rockylinux.org/ja/(AWS、Mattermostといった有力企業がスポンサー)
が有力後継候補になっています。
RHEのfork版提供で一番乗りをしたAlmaLinux
CentOSの後継のポジションを競って開発が進められる中、RHEのforkとしてAlmaLinuxがまず一番乗りをし、β版の提供を開始しました。
公式サイトからISOのダウンロードもできますが、コマンドで既存のシステムでCentOS8からの切り替えも簡単に出来ます。
基本は同じRHEのforkですからね(違いは2022年以降はCentOS8はRHE8がアップデートされても追随アップデートされなくなるというだけ)。
CentOS8のサポート期限の短縮の発表の後、今までCentOSのユーザーは
– CentOS Stream
– CentOS 8
– CentOS 7
– 別のLinux Distribution
のどれを選べば良いのかと悩んでいる状況かと思いますが、既存のCentOS8からAlmaLinuxへの乗り換えが簡単に出来るという事は、CentOS8を選んでそこからAlmaLinuxに切り替えれば良い、という事になります。
そもそもの経緯の不信感から、Red Hat Linuxのfork自体も避けたいな、と思うかもしれませんが、パッケージの違い等で、意外とCentOS系からUbuntu系への移行は大変だったりするので、今までCentOS系でシステムを構築してきていたのならば、これが一番コストの低い無難な対応方法にはなるかと思います。
AlmaLinuxの使用において暫く気をつけるべき点
原理的には、Redhat Linux Enterpriseのforkだからβ版でも何も問題起きないだろうと思われるかもですが、
DistributionとしてAlmaLinuxって何?(知らないよ!)、とインストールされるソフト側がUnsupported platformなエラーを返してくるパターンはあり得るので注意。
どんどんそういうタイプの問題は潰されていくと思いますが、特に出て間もないβ版の間は要注意なので、何も考えずに移行せず、きちんとテストした上で採用しましょう。
AlmaLinuxに既に対応してるクラウドサービス
AWS
https://aws.amazon.com/marketplace/pp/B08WH84PJ1
Azure
https://azuremarketplace.microsoft.com/en-us/marketplace/apps/procomputers.almalinux-8-3-beta
CentOS8からAlmaLinuxへのコマンドでの切り替え方
2021/2時点のβ版時点での情報です。
公式による変換スクリプトが提供開始されたので、それを使っています。
# CentOSのパッケージの最新化 # dnf update -y; # 移行スクリプトをダウンロード curl -O https://raw.githubusercontent.com/AlmaLinux/almalinux-deploy/master/almalinux-deploy.sh # 移行スクリプトの実行 sudo bash almalinux-deploy.sh # AlmaLinuxに変わってる事の確認 # AlmaLinux release 8.3 (Purple Manul)といったものが表示される cat /etc/redhat-release # AlmaLinuxとしてシステムが立ち上がる設定になっている事を確認 # title="AlmaLinux (4.18.0-240.el8.x86_64) 8" といったものが表示される sudo grubby --info DEFAULT | grep AlmaLinux # システムをrebootして完全に反映 reboot
これにより、RHE8のforkとしてのサポート期限が、CentOS8の2021年末日から2029年5月末日まで伸ばす事に成功しました。
この適用はAlmaLinuxが正式版になってからで良いと思いますが、何にせよ簡単に切り替えられるので、CentOS8を使っていても、後々簡単に切り替えられるので問題ない、という事は確認できるかと思います。
選択肢がないから仕方ないなぁとCentOS Streamを選んでしまうと、逆に乗り換えは難しくなってしまうと思うので、本来のCentOSが欲しい方は、CentOS8のままにしてAlmaLinuxの正式版を待っておきましょう。